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徳島県内初、高校生を対象としたカードゲーム「2050カーボンニュートラル」を実施!




2023年11月28日、徳島北高校においてカードゲーム「2050カーボンニュートラル」を実施しました。プレイヤーとして徳島北高校の1、2年生の22名が参加しました。

まずゲームを始める前に、事前に脱炭素の現状と課題について、徳島文理大学総合政策学部の床桜教授に説明していただきました。


炭素の排出量は、日本だけで捉えても年間約12億トンもあり、一方吸収は0.55億トンにすぎないこと、また、産業革命以降、世界の平均気温が約1℃上昇しており、このままでは2100年には40℃を超えてしまうということなどの説明があり、参加した高校生は真剣に聞き入っていました。


2050カーボンニュートラルゲームとは?



「2050カーボンニュートラル」とは、ゲーム会場を「日本」とし、参加者全員が一つの組織の一員、また一個人として関わりながら、2050年を目標として活動するシミュレーションゲームです。日本に実際に存在する住宅メーカーや環境NPO、金融機関などの組織が12個あり、そのそれぞれの組織にある目標を2050年までに達成できるかによってゲームの成否が決まります。


またこのゲームでは、カーボン・マップを用いており、本来目に見えないカーボンの動きが非常に見やすくなっています。参加者の行動に応じて変化するため、このマップの動きはゲームにおいて重要な指標となってきます。

なお、ゲームルールの解説は、私達、学生が担当しました。皆さん真剣に聞いてもらいました。




実際のカーボンニュートラルゲームの様子



ルール説明の後、高校生2人1組で12の組織に分かれて実際にゲームを開始しました。ゲームが始まると同時に参加者は、他のグループに対して情報収集や交渉を持ちかけるなど、今までに行ってきたゲームの中でも一番早く協働を始めており、同じ若者世代だからこその良いところだと感じました。 ESG投資や再生可能エネルギーなど、おそらくまだ聞き慣れない単語があるにもかかわらず、どうしたらおのおのの目標を達成できるか工夫して行動しており、私たちも彼らができる限りわかりやすくなるようサポートしました。


このゲームでは、4回活動をおこなってもらいますが、最初の1回目と2回目の前半では、ほとんどのグループが経済を回すことを念頭に行動していたため、実際の約5~10年ほどで排出量が増加し、大気中の温室効果ガスは100億トンを超えてしまうほど悪化していました。 このゲームでは時間経過や経済の循環だけでなく、炭素の動きも分かりやすく再現されているため、ただ経済を回して利益を得ようとしても、気候変動や海面上昇などが引き起こされ、経済全体に大きなダメージを受けてしまう仕組みになっています。



後半の3回目、4回目では、前半に比べて排出量や吸収量への配慮をしつつ行動するグループが増えていたものの、2050年までに決定的に排出量と大気中の炭素を削減することはできませんでした。 序盤の炭素の大量流出による経済への被害も大きく、組織ごとの目標を達成できたのは1チームのみでした。前半の様子は今の実際の日本ととても似た状態であったため、ゲームの目標を達成できなかったことだけにとらわれず、実際の社会の現状への危機感として捉えてくれたらと思っています。



ゲーム終了後の結果と講評



(左)ゲーム終了後のカーボン・マップ (右)所持資金の変動がわかる表


4回のゲームを振り返ったときに、序盤参加者のほとんどが経済の好循環のみを目指して行動していたために、後半に多くの環境問題によって経済が大打撃を受け、経済の循環も炭素の削減もどちらも成すことができないという結果になっていました。人々の経済活動と環境の好循環は決して無関係とはいえないものであると改めて理解でき、参加した高校生の皆さんにも少しでも理解してもらえたらと思いました。


ゲーム終了後の床桜教授の講評において、経済成長と脱炭素を両立させる「デカップリング」という状態は実際にドイツなど欧州ですでに実践していることや、カーボンニュートラルを「自分事」として捉えて、できることから実践することの大切さなどを解説していただき、徳島北高校での2050カーボンニュートラルは終了しました。


徳島北高校でのゲームを終えての感想



デカップリングの重要性などの解説


ゲーム終了後に参加した高校生に対してアンケート調査を行いました。「ゲームを体験する前の脱炭素へのイメージはどのようなものでしたか?」という問いに対して、参加者の半数以上が地球にいいことである、と認識していましたが、約3割ほどが企業や政府がやること、というどこか他人事のようにとらえていました。


しかし、「ゲーム体験後の脱炭素へのイメージはどのようなものでしたか?」という問いに対して、参加者の約9割以上が自分たちの将来のためのもの、と考えており、今回のゲームが多くの参加者にとって、脱炭素の問題を自分事として捉えるきっかけとなったといえます。


彼らのように多くの人に脱炭素を「他人事」から「自分事」として捉えてもらうため、今後もカードゲーム「2050カーボンニュートラル」の出張実施を行っていきたいと考えています。自分たちが生きていく地球のためにもこの活動を継続して取り組んでいきます。

ゲームに興味がある方はぜひお声がけください。


今回のレポートは総合政策学部3年一木千愛が担当しました!






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